礼法とマナー(第二回)
2010年2月6日
郷友連盟の主張
日本の行事
年中行事には、祭祀儀礼、通過儀礼等いろいろありますが、どれも一つ一つに細やかな願い祈りが込められています。誠実に取り組むことにより、祖先や親、周りの人に対する愛が育まれ、命の尊さ、また、大きくは人間の使命に目覚めさせる力を持っているようです。
- 五節句(人日、雛祭り、端午の節句、七夕、重陽の節句)
- 一、人日
正月七日は「人日」といい、五節句の一つである。中国では……武帝に仕えた前漢の文人、東方朔(前一五四~九三頃)の占書に一日ー鶏、二日ー狗、三日ー羊、四日ー猪、五日ー牛、六日ー馬、七日ー人、八日ー穀
七日は、人の日とあり、人を占い人を尊重する日と定められて、人勝節と言いました。人勝節では華勝を髪飾にする 風習がありました。
華…… 草木の花をあらわす。
勝……正しい者は勝るの意。色とりどりの綺麗な髪飾りを着けて年を改め、心を正す印とした。
日本では……正月初子の日に、山野に出て若菜を摘み若松を引き長寿を願う催し「子の日のお遊び」として、平安時代の年中行事であった。
古今・春上「君がため春の野に出でて若菜摘むわが衣手にゆきはふりつつ」光孝天皇
平安時代は、七種類の穀物も食す。米、粟、黍、稗、篁子、胡麻、小豆を炊き粥にした。
鎌倉時代は、新菜で芹、薺、御形、繁縷、仏の座、菘、清白の七草粥に定着する。
※ 羹、熱い吸い物にすると邪気を払うとされた。
春の七草
- 芹【せり】(根白草)……ひとつ所に競り合って生えるのでその名がある。競り勝つ。浄血作用あり。消化を助ける働き。
- 薺【なずな】(ぺんぺん草、オオバキンチャク)……撫で愛でる草の意。美味なので江戸時代は日常の野菜として撫で菜とも言われた。果実の形が三角形で三味線のバチに似ている上、茎を口にくわえて引っ張って弾くとペンペンと音がするのでペンペン草の異名を持つ。また実のついた全ての茎を落ちないように引き裂きシャラシャラと音を出し童子の遊びにもなった。視力、内臓の働きを良くする。
- 御形【ごぎょう】(母子草)……茎の端に小さな頭花が球状に集まって咲くのを、子が母にまつわりつく様子に例えた。吐き気・痰・解熱に効く。
- 繁縷【はこべら】(はこべ)……茎が長く連なりヘラのように蔓延るのでその名がある。繁栄。歯茎の腫れ・利尿作用に効く。
- 仏の座【ほとけのざ】(田平子、カワラナケ)……地面ピッタリ付いた丸い葉が仏様の座布団のような形をし、また田に平たく葉をつけているところから田平子という。歯痛止め。
- 菘【すずな】(鈴菜、蕪、青菜)……根が球形をしているのでカブという。カブとは、頭で頭領の例え。中国の三国時代の蜀の軍師諸葛孔明が長期にわたる戦場でカブを作らせ食料としたという故事から、諸葛菜ともいう。消化促進。
- 清白【すずしろ】(大根、鏡草)……太く白いので鈴白。純白な心。野菜の王様で消化に良く、食あたりしない。大根役者とは、当たらない役者のことを指す。「千六本」のことを日本では大根を細長く刻んだものを指しているが、大根を中国では蘿蔔(これを唐宗音ではローポと発音)。細長く刻んだ大根=繊蘿蔔が日本では千六本と訛り千六本と書いた。千という字により「たくさんの」という意味に取り、細かく刻んでしまう人もいれば「人参を千六本に切って」などと料理教室で教える先生もいる。六本と蘿蔔(大根)の解釈間違いである。胃・神経痛に効く。
- ※民間から始まった七草粥(初春の若菜で邪気を払う)
- ※その季節の若菜を食すことにより無病息災を願う七草粥、正月のご馳走疲れを癒すことと、気温の低い季節、血液の流れが滞りがちになるのを予防する意味もあったと思われる。
- ※「敷島の大和の国は言霊の助くる国そ真幸くありこそ」柿本人麻呂
とあるように古代人は言霊の持つ強力なパワーを感覚的に身につけていたと思われる。言霊の宿る日本語の美しさは衣食住のすべてに生きています。
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