菊花薫るここ陸軍墓地において、戦没者慰霊祭を執り行うに当たり、謹んで祭文を捧げます。
本日の慰霊祭は、福岡県郷友連盟主催、福岡県英霊にこたえる会、日本会議福岡、福岡県海友会、福岡偕行会、福岡県神社庁、及び陸軍墓地石碑修復委員会の協賛の下に執り行われており、ご遺族、戦友会を始め、国会議員、県、市の議員の皆様、現職自衛官、及び諸団体の代表、そして多くの会員及び一般のの方々等多数のご参加を得ており、ご出席の皆様に対し改めて感謝申し上げます。
ここ陸軍墓地は明治、大正、昭和の各時代において、我が国の独立と繁栄のため、そして日本民族の安泰を念じつつ、国のため郷土のため、 そして愛する家族のために尊い命を捧げられた方々の墓地であり、各時代に思いを馳せます時、新たな感謝と痛恨の情が胸に迫って参ります。
この陸軍墓地には十一基の墓碑があり、明治維新志士の碑、日清戦役戦病没者の墓、日露戦役戦病没者の墓、青島シベリア戦役戦病没者の墓、満州、上海事変戦病没者の墓、支那事変戦病没者の墓、大東亜戦争戦没者の碑、ビルマ、タイ拉猛雲南地区戦没者の碑、ガダルカナル島地区戦没者の碑等があり、総勢一三、六二九柱の英霊が祭られております。
本日は遺族会及び戦友会の方々のご出席を得ておりますが、最愛の肉親を失われた悲しみに耐え、幾多の困難を乗り越えて来られたご遺族の皆様に深甚の敬意を表すものであります。
先の大戦からすでに六十五年、この間日本は外国の侵略もなく、経済的繁栄を追求謳歌してきました。冷戦は終わりましたが、今は民族、宗教間の対立の時代をむかえています。また近年においては、中国の軍事力特に海軍力の増大膨張が顕著であり、また北朝鮮の動向も目をはなせない状況であります。日本国内に目を移せば、民主党政権になり一年を経過しましたが、経済、教育等の国内問題での不安定化はもちろん、普天間問題処理に伴う国内混乱と対米関係の悪化、尖閣諸島での対中国外交の弱体化等、外交安全保障面での国家としての自覚と責任のありようについて、まことに憂慮に耐えないところであります。
このような時にあたり私共郷友連盟は会の信条である国防思想の普及、英霊の顕彰、日本文化伝統の継承を中心とした活動をさらに活発化し、日本再生の社会運動の精神的支柱となれるよう最大の努力をして参る覚悟で御座います。
在天の英霊におかれましては祖国の姿、世界の情勢をご照覧のうえ、我が国の進路、あり方について、ご指導ご加護を賜らんことを願い、また、御霊の安らかならんこと、そしてまたご遺族の皆様のご多幸を祈念しまして 追悼の言葉といたします。
平成二十二年十月二十四日
祭典委員長 中野純人