新春祝賀会講話


【おことわり】 一昨年九月の衆議院選挙で国民は政権交代を選び、一年半を経過しても政治・外交・安全保障・経済・教育面の混迷からの脱出の兆しも見えない状況下に新年を迎え、国家再生への活動に指針を得たく講話をお願いした次第です。折しも、昨年秋航空自衛隊入間基地航空祭において航友会会長(民間人)の挨拶が問題とされ、自衛隊行事での民間人による政権批判を排除する防衛省事務次官通達が出されている。このような情勢を気遣われ、本講話においては敢えて革命家の立場での発言という異例の取り組みをされていますので、ご理解戴きたく申し添えます。

【編集子】

産経新聞 野口総局長

産経の野口でございます。
郷友連盟さんから講演の依頼を受けました時にいささか当惑した次第でございます。
「誇りある日本の再生を理念に掲げ、活動する参加者に対して新しい年の展望についてお話いただきたい」というご依頼でございましたが「現在の日本は誇りなき日本の沈没であります。」そして新しい年の展望は結論から申しまして「今年の展望はありません。」その位悲惨極まりない状況であります。
昨年、政府のおえら方から政府を批判してはならないとのお達しがございましたので、私もいささか緊張しております。
まさか言論機関の私にまでプレッシャーがかかるとは思いたくはありませんが、皆さんに迷惑がかかることはいけないと思いますので、この20分間だけ、私は左翼の革命家に変身いたします。

 

民主党政権の素晴らしい功績について述べたいと思います。
外国人参政権、ジェンダーフリー、夫婦別姓です。この政権の目的は日本文化を極限まで薄め、日本人から誇りある歴史観を拭い去り、そして日本の文化をメタメタに切り裂く、そして行き着く先は万世一系の皇室を頂くこの素晴らしい国の国体、皇統を究極的に無くすという、これは非常に巧妙な革命思想でございます。これがまず民主党政権がやった功績だと思います。国民に支持されるかどうかは判りません。

二つ目の民主党政権の功績はシナコンプレックス、中国コンプレックス、中国に対する賛美、憧れ、こういうものを助長した点にあると思います。
冷戦時代、55年体制からこういう進歩的文化人は多うございました。しかし、それが助長しスピンがかかってきました。そこが尖閣列島の処理に如実に現れているのであります。この尖閣列島のお陰をもちまして竹島では韓国が勢いつき、北方四島ではロシア大統領まで上陸し、近々国防次官まで上陸し、着々と我が国の領土・領海・領空というものを知らず知らずの内に侵食している訳でございます。
革命家の私としましては、ここの誤った対処をした民主党政権に感謝したい気持ちで一杯でございます。

もう一つ申し上げておきたいのは、今年の目標は戦争、或いは紛争といってもよろしいと思いますが、これと正面から向き合わなければならないということであります。これは自民党時代からの問題でありますけれども日本人は安全保障に関しまして戦後60年、ずっと思考停止して参りました。つまり、起きてはならない事は起きない、起きて欲しくない事は起こらない、こういう思考停止です。しかし自衛隊をはじめ危機管理を担う方々は起きてはならない事は常々備え、起きて欲しくない事に備えている訳です。これが危機管理の要諦です。今年はこういう事に正面から向き合わなければならない。戦争、どういう形態の戦争か判りませんが冷戦時代の戦争が来るのか、或いはテロが来るのか或いはテロか交通事故か判らない事態が来るのか、今年はそういう暗澹たる時代を迎えた訳です。そしてそこに対処するのは自衛隊だけではありません。国民全員が対処しなければならない。自衛隊は一線で敵と対峙し、これを殲滅するわけでありますけれども、我々国民も自衛官を支援し、そしていざとなれば一緒になって戦う、こういう力の結集が抑止力を生むのであります。
しかし、今の態勢は何たることか。外国人を招き入れ、戦争の危険を高め、革命家の私としましては歓迎すべきところであります。

戦争と正面から向き合わなかった国はどれ位悲惨か少し話しておきます。
第二次世界大戦の時にナチスドイツはフランスを占領しようと思いました。しかし正面からは頑丈な要塞があり多くの犠牲を払うことになります。そこでドイツ軍は北のベルギー回りかスイス回りを考えた。ドイツ軍参謀としてはスイス回りが大概の主張でした。しかし、その動きを察知するとスイスは24時間で何十万という国民を動員して配備しました。ここでドイツは一回諦めます。結果どうしたか、ベルギー回りです。戦う意志のないベルギーを占領し、フランスに雪崩れ込みました。
その次、皆さんヨーロッパ地図を頭に描いてもらいたいのですが、ドイツは同盟国のイタリアに兵員物資を送るために、またスイスの占領を考えました。スイスは国中のトンネル、橋に爆薬を仕掛け、ナチスドイツが来るのであれば国中を動員して阻止しようと考えました。そして国民自ら銃を取って天然の要塞であるアルプスに立て篭もろうとする明確な意志を示しました。その結果、大きな損耗を余儀なくされるナチスドイツの占領の意志は潰えました。

ここまでは皆さんご存知かもしれませんが、意外に知られていないのはスイス空軍の活躍です。ドイツ空軍はスイス経由でスイス上空を侵入し、イタリアに兵員、物資を送ろうとしました。そしてそのとおり、数十機のドイツ空軍機を自ら約200機の犠牲を払いながらも撃墜しております。ところがスイスの偉いところは連合国にも同様の対応をやっております。イギリスもスイス上空を通ってイタリアに空爆しようとしました。こちらもスイスは警告しました。「我が国は厳正中立国であるので如何なる国の領空侵犯も許さない」とその結果、英国軍機、連合国軍機を合わせて百数十機撃墜しております。先程、スイス軍機約200機犠牲を払ったといったのは、連合国とドイツに対して戦った両方合わせての犠牲であります。厳正中立というものは厳しいものであります。国家を防衛するというのは連合国も枢軸国もありません。両方を撃墜する決意とそしてその態度表明がスイスを救ったのであります。そして落ちを申し上げましょう。スイスはこの間、大儲けをしております。スイスの戦後復興は早かった、何故かというと連合国、枢軸国両方に武器弾薬を売ったからです。これは我々平和ボケした日本人からの感覚からすると実に怪しからんことではありますが、国際上は厳正中立を認められれば違法ではありません。

このように世界は強かに動く中で我々だけが武器輸出三原則のような愚かな政策を続けている。韓国を軍国呼ばわりをしますが世界有数の武器輸出国に成り上がっています。陸軍大国トルコの正式戦車は韓国から輸入した戦車です。しかも戦車大国のドイツを打ち破って戦車を売っています。一緒に敗戦を迎えたドイツも今は世界有数の武器輸出国であります。スウェーデン、フィンランド、デンマークは皆さんご存知の中立国です。何となく美人のイメージのある国です。これらの国も世界有数の武器輸出国であります。

このように世界は厳しい情勢の中、我々は何をしているのか。事実上の鎖国であります。世界中不景気ですからコスト、研究費、生産費、技術力をお互いシェアーしている、分担していく時代であります。それなのに日本は西側の先進国との共同開発もできない状況であります。そのくせ、民間の製品はどんどん外国に売り渡している。大砲、戦車よりも民間のITのソフトとかコンピューターの部品はもっと先端兵器に使われるものです。それをタライ流しにして一方では我が国が売らなくても他国が全部売っている武器を鎖国している。その結果、高いもので9倍の武器を我が国は生産しているのです。或いは相当の値段で買っている訳です。だから日本の防衛費は世界で何番目というが冗談ではない。実質9分の1でしかないのです。逆にいって武器輸出を解除するだけで9倍も防衛費を増やせるのです。

よく冷戦終結でもう陸上兵力は要らない、海上、航空に回せばよいという人がいるが中国はどう出るかは判らない。そんな時にこのような議論を慎むべきです。陸上自衛隊を削って海上と航空に分けるのではなくて防衛全体のパイを増やすべき時に来ているのです。アジア各国の中で防衛費、国防費を増やしてない国は日本を除いて一国もありません。ロシアは脅威ではない。違います、ロシアは必ず復権します。あの国はそういう国です。北海道をから空きにしてよいという議論は間違いです。北海道も九州も手厚くしなければならないのです。一回駐屯地を減らしてしまったらそれを取り返すのに何十年もかかります。警察予備隊から苦難の自衛隊の歴史を思い返してください。どれほど今日の自衛隊になるまで時間がかかったことか、軍隊というものはそういうものです。

過去の歴史を見ますと色々偉い人がいた。今年はそういう人を学ぶ年にしたいと思います。近世、近代にも居ましたが江戸時代に目を向ければ山崎闇斎、或いは本居宣長、或いは山鹿素行、この人たちは儒学と神道を徹底的に研究し、その結果、山鹿素行に至っては中国かぶれでありました。しかし我が国の万世一系思いは馳せ、それを極めた時、革命好きで帝国が次々と代変わりする中国、或いは汚職が蔓延し、不正が行われるシナの歴史に比べ、我が国は何と素晴らしい国かというふうに目覚めたわけです。この不浄の国、大量虐殺をものともしない国、これは昔の中国だけを申し上げているわけではありません。現代に通じるものです。革命の都度に何十何百万人という中国人が命を奪われました。我が国はそういうことはありません。これは皇室をいただき、国民が革命を望んでいないからの所作です。
この最後の砦、万世一系の皇統について我々は新たな誓いでこれを守り抜くという再スタートの年にしたいという風に存じております。ご賛同をいただければ幸いです。
ご静聴ありがとうございました。

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