5月4日、アメリカから*OBON2015のジークご夫妻(レックス&敬子さん)が旧日本兵の遺品と思われる寄せ書き日の丸を持参され、福岡県郷友連盟に譲渡されました。持主が福岡県出身者の上田主基男さんと推定でき、当連盟が引き続き持主、ご遺族を捜索することになりました。
*OBON2015:終戦日から70年目にあたる2015年のお盆までに世界中に現存している「寄せ書き日の丸」を家族の元へ返還する取り組み。
受渡式は13時半より、福岡縣護国神社社務所において当連盟役員列席の下、ジークご夫妻から吉田会長に日章旗を引き渡されました。
その後、15時から神社境内で開催された特攻勇士慰霊顕彰祭においても日章旗とジークご夫妻の紹介が行われ、参加者の皆様に持主捜索のお願いをしました。
ジークご夫妻は先月4月10日、アメリカのイリノイ州在住の米国人からこの日章旗の返還依頼を受けました。寄せ書きから持主は福岡県の遠賀農業学校から田川農林学校に転校され、予科練等の軍隊に志願されたものと思われますが、現在までのところ持主または御遺族が見つかっておりません。(田川農林学校の昭和21年3月卒業生の名簿に上田主基男さんの名前が掲載)
この度、ジークご夫妻がこの日の丸を福岡に持参されましたので、持主が見つかるまでの間、福岡県郷友連盟で預かる事になりました。
当連盟が中心となり持主またはご遺族の捜索を続行しておりますので、皆様のご協力を宜しくお願いいたします。(細部は下記をご覧下さい。)
【上田主基男さんご遺族捜索のお願い】
★心当たりの情報をお持ちの方がおられましたら、福岡県郷友連盟(下記)まで情報提供をお願いいたします。
電話(FAX共通):092-761-7032 E-Mail info@fukuoka.goyu.jp
事務局長(稲葉):090-6633-0931 E-Mail jp6gfa@ybb.ne.jp
四月十三日( 日 ) 平成二十六年度 福岡県郷友連盟の定期総会が、ホテルクリオコート博多において開催された。
前段では会員による総会で二十六年度の事業計画が承認された。特に陸海空自衛隊部隊研修が六回計画され、例年の倍の回数となる。会員及び一般参加者の防衛意識の高揚と多数の参加を期待したい。また、現在当連盟事務所が入っている福岡県社会福祉センタービルが老朽化のため取壊され、それに伴う事務所移転計画が承認された。
総会終了後の式典では、多数の国会議員はじめ、県・市議会議員、友好団体、九州・山口地区の陸・海・空各自衛隊揮官そして会員等多数の参加を得て、実施された。
式典の後段では、陸上自衛隊第四師団長である川又陸将による「陸上自衛隊の将来体制と第四師団の概要」という演題で、近年国民の関心も高まっている島嶼の防衛手段及び奪還手段、西南諸島方面軍への増強等の内容について話された。特に、今年度より防衛大綱が大きく改新され、統合機動防衛について我国を取り巻く防衛問題に如何に対処していくかなど普段聞けないような講話であった。
後段は博多にわか振興会による「博多にわか」から懇親会が始まった。乾杯後の懇親会では、台湾から特別参加いただいた戦前日本軍属としてシンガポールで活躍された九十二歳の楊馥成氏と新宮高校新聞部長高野隼平君に吉田会長から感謝状が贈呈された。また楊氏からは台湾の貴重なスピーチをしていただき、また沖縄に台湾人慰霊碑建立に尽力されている。我々日本人は大東亜戦争を共に戦った台湾人の犠牲を決して忘れてはならない。
終盤では、恒例である岡田女性部長の指揮で「故郷」「春が来た」を合唱し、大和魂を育てる会の三國氏の万歳三唱と鳥井副会長のお礼の言葉で今年度の定期総会を無事に終了することができた。
近年に入り、郷友連盟の行事に大学生など比較的若い世代が多く参加するようになった。また、多くの国民が国防問題や国際情勢に興味を持ち始めている。この機会を逃さず、郷友連盟の理念でもある「誇りある日本の再生」を目指し活動したいと思う。
過日、郷友連盟の論客であり、かつ博覧強記の士でいらっしゃる堀本正文氏より、「戦略的発信の強化に向けて」(領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会報告書 平成25年7月2日)という文書を戴きました。読み進むうちに、正に引き込まれる内容の連続で4度読み返したのですが、優れた有識者の手によるとはいえ、言葉によって現状が実に的確に表現されているという事、現状についての認識(前提や有識者間の共通認識及び情勢判断)、目的さらには手段といったものが緻密に研究されており、大変引き込まれる内容です。
【領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会報告書 平成25年7月2日】
【同報告書手交及び記者会見】
これは心理の段階を問題にし、これは論理の範疇で分析され、これは倫理的な視点からの提言と非常に科学的な表現であり、情緒的抽象的な要素から具体性を伴う方策まで提示してあり、含蓄に富んだ内容だと感じさせられます。
当然と言えば当然ながら、よくありがちな、「一途な思い」を前面に出した素人的な激情の吐露が一切なく、全編が「作戦家の冷静さ」で書かれています。
いわゆる情報発信の重要性に鑑みた、これから日本の取るべき方針を述べられたものですが、その柱に「情報発信は広報活動ではない、世論戦である」、「第三国、中でもアメリカを巻き込んで展開することの不可欠さ」を置かれて、各論が展開されるのですが、世論戦で日本は著しく立ち遅れていること、国民の知識、意識共に低い事、世論戦を戦う体制が研究、学術的なものをはじめとして不十分な事等々、全て肯綮に当り傾聴に値します。ただ、示された方針を実践するのは人なのですが、こうした世論戦や宣伝戦をやって効果をあげるには、義務感や使命感だけでは不十分な気がします。そこに求められるのは「人との交際、それも外国人との交際を好む。」といった資質であるように思います。また、日本人が伝統的に重んじる「誠心誠意」が大事な要素であるのでしょうが、他面「反則の知恵比べの世界」「非紳士的手段の世界」であるというのも事実でしょうから、純真一路は不適格であり、「そこを何とか8割位でどうでっしゃろ」といった、商売人や銀行家、役者のような人々がもってこいの適性であり、あるいは「こだわらない、とらわれない広い広い心」の悟りに至った宗教家なども、適性の持ち主であるように思います。
それは「謹厳実直」よりも「使えるものは何でも使おう」という発想の出来る融通無碍なる資質なのかもしれません。
では軍人や警察、官僚といった人々は不向きかというとそうではなく、要は職業より、好奇心が強くゴシップなどにも興味を示し、個人行動を嫌がらず人との係わりに意欲的という性格で選ばれるものであるように思います。そうした一面を考えると、控えめでつつましく自己表現をあまりしない事を美徳という意識のある世代から見ると、物おじせず、見せたい、見られたいといった意欲に富んだショーマン的な風潮で育っている最近の世代は、その条件をより強く備えているとも言えるでしょうし、彼らが愛国心と母国への信頼と誇りを持ってくれるならきっと花咲く構想でしょう。
このような有識者の報告や提言が、一つの政策方針となって組織化され新しい生命を吹き込まれるのか、あるいは既存の組織の中の政策や作戦の付属部分に終わるのかは当局者の裁量によるのでしょうが、望むべきは広い国家的視野を制限されない条件の下で行われてもらいたいと思うのです。
この有識者の報告と提言は極論すれば「如何にして敵の中に味方を作るか」という事であり、味方を作るという事は、相手とってみると祖国への変節や改心を求める一種の裏切り行為の勧めでもあるのでしょうから、場合によってはこちらへの不信を募らせる危険性もあると言えます。そうした相反する面を克服して、成果を上げるのに必要な事、それは相手の事をよく理解しようとする姿勢と、融通無碍な思考ではないかと思います。