福岡県県・市・町・村教育委員会
教育長 殿
福岡県郷友連盟は、「誇りある日本の再生」を目指すため、次のような事項に関する活動を行っています。
・故郷のため、国のために散華された先人の遺志を大切にする。
・日本の誇るべき歴史・文化・伝統を後世に伝える。
・我が国の守りについて考える。
平成18年に教育基本法が改正され、初の検定結果が発表されて平成24年度から使用される中学校教科書選定の最終段階として、各地の教育委員会による「採択」作業が行われています。そのため、各地に検定を通過した新教科書展示会が行われ、一般市民にも公開されて意見が聴取されています。
当連盟でも会員が一般市民の立場で展示会に参加しての所見を持ち寄りました。戦後は日本の歴史観・国家観が軽視され、希薄化する傾向が危惧されるところから、この問題に直接関係する「歴史」及び「公民」の教科書を重点に文科省検定を通過した7社(自由社、育鵬社、教育出版、清水書院、帝国書院、東京書籍、日本文教出版)について閲覧吟味させていただきました。
新教育基本法では、「伝統を継承し、新しい文化の創造をめざす教育」の推進がうたわれ、教育の目的として「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度をやしなうこと。」が明記されています。
中学校の学習指導要領(歴史的分野)では、冒頭で「目標」について「歴史的事象に対する関心を高め、我が国の歴史の大きな流れを、世界の歴史を背景に、各時代の特色を踏まえて理解させ、それを通して我が国の伝統と文化の特色を広い視野に立って考えさせるとともに、我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる。」と明記されています。
また、中学校学習指導要領解説(社会編)を見ますと、歴史古代までの日本では「考古学などの成果を活用するとともに、神話・伝承などの学習を通して、当時の人々の信仰やものの見方などに気付かせるよう留意すること。」と解説され、古事記・日本書紀などの神話・伝承を勧めています。
7社の歴史教科書について、古事記・日本書紀などの神話・伝承ならびに天皇、日清・日露戦争・大東亜戦争に至った背景等の記述の有無を確認しましたところ、十分な記述があるのは自由社と育鵬社のみでした。
また、公民教科書について、学習指導要領解説では「自衛隊が我が国の防衛や国際社会の平和と安全の維持のために果たしている役割」について示すようになっていますが、先の7社の中では自由社と育鵬社を除いて十分に説明されていません。今回の未曾有の東日本大震災の災害派遣の任務に従事している自衛官は国民の生命を守るため、被災者の救援に大活躍していますが、他の5社の記述内容では、自衛隊の本来の任務が国防であることを認識し難いものとなっています。その他、国旗国歌等「愛国心・愛郷心」「伝統と文化の尊重」「公共の精神」などの取り上げ方、記述には批判的とも採れるものが散見されます。批判的な歴史・史実を教えられて、歴史を愛する心も、国に対して誇りを感じて国民としての自覚も育まれることは望めません。
新教育基本法と学習指導要領に準拠した内容となっている教科書は、自由社と育鵬社の2社のみです。
他の5社の教科書はいずれも、新教育基本法及び学習指導要領に準拠してないところが散見され、採択されるべきではないと判断します。
従いまして、中学校教科書(歴史・公民)は、自由社、もしくは育鵬社を採択していただきたく、お願い申し上げます。
私どもは教科書の専門的知識もありませんが、一市民として、将来の日本の宝である子供たちに正しい歴史観、国家観が持てるような教科書を採択してもらいたいと懇願いたします。
最後に今後の教科書展示会について要望いたします。
県の案内では「教科書展示会は、学校関係者だけでなく一般の方々の入場もできますので、教科書制度に関心のある方々の御参加をお待ちしています。」とありますが、保護者、一般市民に対する告知がほとんどなされていません。
また教科書展示会の会場によってはアンケート用紙のないところや所見をかく用紙は置いてあっても市民の意見を書く欄が狭かったりします。
児童生徒の親、家族は勿論、一般市民からも意見聴取が出来るよう広く呼び掛ける配慮にかけているように思います。出来得れば教育委員会に対し今後は少なくとも市の広報その他校区との連絡協議の場を通じて積極的に広報をお願いするよう要望いたします。
以上