李登輝元台湾総統閣下のご逝去の報に接して
2020年7月31日
特別寄稿
今年2月牛乳を誤嚥されて肺浸潤を起こされて入退院を繰り返されていた李登輝台湾元総統が、昨7月30日午後7時24分頃入院先の台北栄民医院で逝去されました。享年97歳。その人生はまさしく台湾と、台湾国民に捧げられたものでした。今日の確固たる民主主義国家台湾を築かれた本当の『国父』と呼ぶに相応しい生涯でした。かつて米ニューズウィーク誌は、その台湾特集号の中で「ミスター・デモクラシー」との「称号」を与えましたが、中国の専横がなければノーベル平和賞に値する業績、とは中国を除く世界の心ある人々の一致する評価ではないでしょうか。
京都帝国大学で学ばれた李登輝元総統は日本語で考え、学び、伝えることのできる唯一人の外国大統領でした。なぜなら自ら語っておられるように『私は22歳(1945年8月15日)まで日本人として育った』かただったからです。『安倍首相よ、尖閣問題で正義を貫け!』と明言喝破されたこともありました。「武士道解題」など数々の日本語による著作を通じで、また訪日の折に触れて我国に対する提言や、若い世代への叱咤激励など寄せられました。
当福岡県郷友連盟は憂国の理念を共にする李登輝元総統との交流を深めるべく、平成24(2012)年12月及び平成27(2015)年4月に表敬訪問団を派遣、親しく懇談の機会を持ちました。切っ掛けは対中国防衛を共にすべき自衛隊のジェネラル(将軍)や将校達に会いたい、意見交換したいとのご本人のリクエストによるものでした。その期待に応えて5名の将軍と将校をお引き合わせしました。お土産に「そうりゅう型潜水艦」の模型を進呈したことも今となっては良い思い出です。今後進められるであろう『李登輝祈念館』が完成した暁には贈呈者の銘板付き展示がされるのでは、と密かに期待しています。
李登輝元台湾総統閣下の逝去に際し、当会と当会に集うもの、さらには日本国と国民への、長年のご指導とご恩顧に感謝申し上げ、謹んで哀悼の意を表したいと思います。
令和2(2020)年7月31日
福岡県郷友連盟会長・退役陸将補
吉田邦雄
潜水艦「そうりゅう」進呈
潜水艦「そうりゅう」
潜水艦「そうりゅう」銘版
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