陸軍墓地慰霊祭の祭典委員長(中野純人会長)が奏上した祭文(さいもん)全文です。
祭 文
秋冷の季節、ここ陸軍墓地において戦没者慰霊祭を執り行うに当たり、謹んで祭文をささげます。
本日の慰霊祭は、福岡県郷友連盟主催、福岡県英霊にこたえる会、日本会議福岡、福岡県海友会、福岡偕行会及び福岡県神社庁の協賛の下に執り行われており、ご遺族、戦友会を始め、国会議員、県、市の議員の皆様、現職自衛官、および諸団体の代表、そして多くの会員および一般の方々等多数のご参加を得ており、ご出席の皆様に対し改めて感謝申し上げます。
ここ陸軍墓地は明治、大正、昭和の各時代において、我が国の独立、平和、繁栄のため、そして日本民族の安泰を念じつつ、国のため民族のため、そして愛する家族のために尊い命を捧げられた方々であり、各時代に思いを馳せます時、新たな感謝と痛恨の情が胸に迫ってまいります。
この陸軍墓地には十一基の墓碑があり、明治維新志士の碑、日清戦役戦病没者の墓、日露戦役戦病没者の墓、青島シベリア戦役戦病没者の墓、満洲、上海事変線病没者の墓、支那事変戦病没者の墓、大東亜戦争戦没者の碑、ビルマ、タイ拉猛雲南地区戦没者の碑、ガダルカナル島地区戦没者の碑等があり、総勢八、九五三柱の英霊が祭られております。
本日は、遺族会及び戦友会の方々のご出席を得ておりますが、最愛の肉親を失われた悲しみに耐え、幾多の困難を乗り越えてこられたご遺族の皆様に深甚の敬意を表すものであります。
また昨年は、先の福岡県西方沖地震の被害に対する石碑修復の披露を行いましたが、その後さらに、改修委員会により、石碑内骨壺の整理、階段、通路の改修等が実施されました。関係者の皆様に感謝申し上げます。
先の大戦からすでに六十三年、この間日本は外国の侵略もなく、経済的繁栄を追求、謳歌してきました。冷戦は終わりましたが、今は民族、宗教間の対立の時代をむかえています。日本周辺に目を移せば、中国の巨大化、朝鮮半島の不透明化、中東地域の混迷が進んでおり、日本国内では、最近の犯罪等に見られる道徳の荒廃、家庭を含む教育力の低下は目を覆うばかりであります。
このような時にあたり私共郷友連盟は会の信条である国防思想の普及、英霊の顕彰、日本文化伝統の継承を中心とした活動をさらに活発化し、日本再生の社会運動の精神的支柱となれるよう最大の努力をして参る覚悟で御座います。
在天の英霊におかれましては祖国の姿、世界の情勢をご照覧のうえ、我が国の進路、あり方について、ご指導ご加護を賜らんことを願い、また、御霊の安らかならんこと、そしてまたご遺族の皆様のご多幸を祈念しまして、追悼の言葉といたします。
平成二十年十月十九日
祭典委員長 中野 純人