ここ福岡県陸軍墓地において戦没者慰霊祭を執り行うにあたり謹んで祭文を捧げます。
先ず三月十一日に発災した東日本大震災において犠牲になられた方は二万名にも及び東北地方の太平洋沿岸の街はことごとく津波に流されてしまうという惨状となりました。また東京電力福島第一原子力発電所事故により避難を余儀なくされている方は四万名にも及んでおられます。 被災された方々に対しまして心からなるお悔やみとお見舞いを申し上げ被災地の一日も早い復興を願うものであります。
本日の慰霊祭は福岡県郷友連盟主催で福岡県英霊にこたえる会、日本会議福岡、福岡県海友会、福岡偕行会、福岡県神社庁並びに陸軍墓地石碑修復委員会の協賛のもとに執り行っているものでございます。
ご遺族、戦友会をはじめ国会議員、県市の議員の皆様、現職自衛官及び諸団体の代表、そして多くの会員及び一般の方々等多数の方のご参加を得ており、ご出席の皆様に対し改めて感謝申し上げます。
ここ陸軍墓地は、明治大正昭和の各時代において我が国の独立と繁栄のため、また日本民族の安泰を念じつつ国のため、郷土のため、そして愛する家族のために尊い命を捧げられた方々の墓地です。各時代に思いを馳せます時、新たな感謝と痛恨の情が胸に迫って参ります。
この陸軍墓地は、十一基の墓碑があり、総勢一万六千余柱の英霊が祭られています。
先の大戦から既に六十六年が経過しました。この間日本はひたすら経済的繁栄を追求し、地球上で最も安全な国、国民全体が豊かな生活を送れる国と言われるまでに発展しました。この繁栄は英霊の皆様の尊い犠牲の上に成り立っていることを忘れてはなりません。
現在の世界に眼を向けますと9・11後のテロとの戦い、中東アフリカ地区における独裁政治に対する民衆の蜂起等の戦争が続いています。
一方、国内に眼を移せば、民主党政権下の東日本大震災対応の遅れ、経済不況の進行、教育の荒廃による国民が日本人としての誇りや自信を喪失してしまっている現状が見られます。また、外交問題では普天間に起因する対米関係の悪化、ガス田開発や尖閣問題処理に関する弱腰外交が露呈しました。これら日本政府の外交安全保障面での国家としての自覚や責任の無さに憂慮に耐えないところであります。
このような時に当たり、私ども郷友連盟連盟は誇りある日本の再生を目指し、英霊の顕彰、国防思想の普及、日本の文化や伝統の継承を中心とした活動を更に活発化し、日本再生の精神的支柱となれるよう努力をして参る覚悟でございます。
在天の英霊におかれましては、祖国の姿や世界情勢をご照覧の上、我が国の進路やあり方に対してご加護を賜らんことを願い、また御霊の安らかならんことを、そしてまたご遺族の皆様のご多幸を祈念しまして追悼の言葉といたします。
平成二十三年十月十六日
祭典委員長 吉田邦雄